オルタナティブデータ(Alternative Data)とは、主に金融領域で、財務情報や経済統計のように、伝統的に使われてきたデータ(Traditional Data)に対して、POSデータやクレジットカードデータ、位置情報、衛星画像など、これまで利活用されてこなかった代替的なデータのことを指します。
この記事では投資家の皆さんが実際にデータを利用する際の観点から、以下の3点をご紹介します。
1. オルタナティブデータとはどういった種類のデータを指すのか
2. 各データの強みと弱み
3. 活用事例
このセクションでは、具体的なデータについて、概要、強み・弱み、代表的なデータプロバイダーについて解説していきます。
Webサイトやスマホアプリに関するデータです。主にWEBアクセスの解析ツールやスマホアプリのSDKから収集され、データの項目例として以下の様な項目が挙げられます。
WEBサイト
スマホアプリ
これらの情報を活用することで、事業の好不調やサイトやアプリの人気度合いを把握することができます。例えば、Webトラフィック情報では、アクセス数を収集することによって、Eコマースや、旅行予約サイトの業績動向が見通せます。あるいは、スマートフォンアプリの利用情報からは、スマフォのゲームアプリの稼働状況がわかり、人気度合いを把握することができます。
このように、短期的(数週間から3ヶ月程度)な業績予想を行う際に活用されます。
概要 |
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強み |
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弱み |
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プロバイダー |
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Webスクレイピングデータとはプログラムによって自動収集されたWeb上の公開情報のことを指します。価格比較サイトや求人サイト等の様々なサイトに対して用いられます。
例えば、価格比較サイトでは、販売数量や価格からKPIを追うことが可能です。
また、求人サイトでは、従業員の書き込みから採用活動の活発さを推測したり、企業の従業員満足度をセンチメントスコア化することも可能です。
他にも、ECサイトにおける商品の売上ランキングを収集し、各商品の売れ行きを分析する例があります。
概要 |
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強み |
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弱み |
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プロバイダー |
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SNSサイト(Twitter、SanSan等)上のコメントやネットワーク情報を活用し、定性的な情報を定量的に分析するが可能です。
分析の例として、特定のサービスやブランドに対するポジネガ分析や、コメント数に基づいたトレンド分析などが挙げられます。例えばファストフードチェーンや食品、飲料メーカー、ECサイトなどの多くの消費者を相手にしたBtoC関連の銘柄の分析に用いられることが多いデータです。
概要 |
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強み |
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弱み |
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プロバイダー |
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消費者に対する調査・アンケートから得られるデータです。ブランドの選好や消費者行動に関しての調査が主です。調査方法には、数万人規模の大規模なパネルに対して同じ質問を定期的に繰り返す方法(パネル調査法)や、市場を代表する少数のユーザーに対してインタビューを行う方法(フォーカスグループ法)など幾つかの類型があります。
日本ではマーケティングリサーチの領域で、マクロミル社やクロスマーケティング社など、複数の会社がサーベイデータを用いたサービス提供しています。
金融領域では、比較的応用事例が少ないですが、一部の長期投資家は活用している模様です。
概要 |
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強み |
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弱み |
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プロバイダー |
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消費者購買データはさらに以下のように分類することが可能です。
これらの消費に関するデータを活用し、BtoC企業の売上や価格設定、業界動向の実態把握を行うことができます。サンプル数が一定のサイズを超えれば、推計の正確性は非常に高くなり、オルタナティブデータの中で、最も利用され、インサイトも豊富なデータとされています。
これらの消費に関するデータを活用し、BtoC企業の売上や価格設定、業界動向の実態把握を行うことができます。サンプル数が一定のサイズを超えれば、推計の正確性は非常に高くなり、オルタナティブデータの中で、最も利用され、インサイトも豊富なデータとされています。
概要 |
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強み |
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弱み |
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プロバイダー |
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新聞記事やニュースメディアのデータを活用し、以下の様な企業分析が行えます。
従来からニューステキストはBloombergや日経新聞など、経済メディアを中心に投資調査の根幹をなす情報源となってきました。しかし、従来の活用方法が投資のプロフェッショナルによる定性分析がメインだったことに対し、近年は記事上にあるテキストを自然言語処理の技術を活用して分析するアプローチが広がっています。
概要 |
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強み |
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弱み |
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プロバイダー |
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Wi-FiやBluetooth、GPSから得られる携帯電話の位置情報から、特定地域の消費行動の分析や、物流の分析が可能です。不動産(REIT)、旅行、交通など応用できる業界の幅は広くなっており、プロモーションや天候による経済活動への影響の推定など使用できる局面も様々です。特に、新型コロナウイルス感染拡大前後のように、地理的な感染状況、経済動態を見ることが必要な場面では重宝されます。
概要 |
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強み |
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弱み |
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プロバイダー |
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衛星やドローンからの画像により、穀物の生産動向や人の移動具合を把握し、先物市場の予測や小売り・テーマパーク等の好不調のトラッキング等を行うことができます。
概要 |
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強み |
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弱み |
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プロバイダー |
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条約によって定められた対象船舶にはAIS(Automatic Identification System)と呼ばれるセンサーの取り付けが義務化されており、これらを経済活動の分析に活用することができます。
AISには、船の速度、緯度、経度、船舶種類に加えて、タンカーであれば積荷の情報まで含まれているので、分析対象の物流量を把握することで、間接的に業績の好不調を占ったり、マクロの観点で、物流や海運の市況を分析できます。
現在では、コンテナにセンサーをつけて動きを補足する企業や、ドライバルク船(資源や穀物のばら積み船)の航行・積荷データを補足する企業も登場するなど、オルタナティブデータの中でも注目分野です。特にコンテナにセンサーをつけて動きを補足するフランスのTRAXENSには、2019年6月に伊藤忠商事が出資しています。
概要 |
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強み |
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弱み |
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プロバイダー |
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※1…PoIは「この場所はディズニーランド」といった、各緯度経度情報に対する意味付け、Geofenceは地上に仮想の境界線を張ることを指す位置情報解析の専門用語。Geofenceは境界線の内外の人やモノの移動を捉えたりするのに役立てる。
AlternativeData.org. (n.d.). Get Started - Alternative Data. AlternativeData,org. Retrieved May 15, 2020, from https://alternativedata.org/alternative-data/
Eagle Alpha. (n.d.). Alternative Data Use Cases Edition 5.  Retrieved from
https://s3-eu-west-1.amazonaws.com/ea-pdf-items/Eagle-Alpha-Alternative-Data-Report-v5.pdf
中田敦(2017年11月25日)「衛星写真で景気が分かる」『日経ビジネス』2020年5月15日アクセス <https://business.nikkei.com/atcl/report/15/061700004/111600233/>
真鍋和也・松川文平・張勇祥・中野貴司・佐竹実(2020年3月29日)「凍る世界の都市、東京は…」『日本経済新聞』2020年5月15日アクセス
<https://www.nikkei.com/article/DGKKZO57364600X20C20A3EA2000/>
日本経済新聞社(2020年3月5日)「シニアほど外出抑制 野村がリポート(市場点描)
<https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56453240V00C20A3EN2000/>