株式会社ナウキャスト Economic Research Unit
沖 悠太、余野 京登

本分析では、フロッグの求人データを用いた。対象期間は2024年1月1日から2025年12月31日までの2年間であり、フロッグの求人データのうち、あらかじめフロッグ社の分類によってIT求人に絞り込まれたデータを対象とした。また、勤務地を東京都、雇用形態を正社員に限定し求人サイトは10サイト(※)を対象とした。給与については年収の上限下限の平均とした。
※:対象サイトは、AMBI、エンミドルの転職、DODA、日経転職版、転職EX、マイナビ転職エージェントサーチ、レバテックキャリア、リクルートダイレクトスカウト、リクルートエージェント、リクナビNEXT。なお、同一求人が複数の求人サイトに掲載されている可能性があるが、各サイト間の重複削除は行っていないため、集計結果にはサイトをまたいで重複する求人が含まれる可能性がある。
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以下のグラフは2024年Q1から2025年Q4までのIT求人件数、AI求人件数、AI求人割合の推移を示している。
IT求人件数は増減を繰り返しながらも、全体としては概ね横ばいで推移している。一方で、AI求人件数は水準自体は小さいものの、緩やかな増加傾向にある。これに伴い、AI求人割合も一貫して上昇している。具体的には、AI求人割合は2024年Q1の0.5%から、2025年Q4には2.0%近くまで上昇しており、IT求人全体に占めるAI求人の比率は4倍ほど拡大している。このことは、IT人材需要全体が大きく拡大しているというよりも、IT求人の中でAI関連人材への需要が相対的に高まっていることを示している。
以下のグラフはIT求人とAI求人の2024年12月・2025年12月の給与分布のヒストグラムである。
2024年12月と2025年12月の給与分布を比較すると、IT求人・AI求人のいずれもヒストグラム全体が右方にシフトしており、2025年にかけて給与水準が上昇したことが確認できる。特にAI求人ではそのシフト幅が大きく、平均給与は805.9万円から852.0万円へ、中央値は750.0万円から825.0万円へ上昇しており、AI人材への需要の強まりがうかがえる。
また、給与水準の上昇幅をIT求人とAI求人で比較すると、平均値ではIT求人が33.2万円の上昇であるのに対し、AI求人は46.1万円の上昇であり、中央値ではIT求人が10.5万円の上昇にとどまる一方、AI求人は75.0万円上昇している。このことから、2025年にかけてAI求人の方がIT求人よりも給与上昇の動きが強く、AI人材に対する企業の評価や需要が一段と高まっていることが示唆される。

以下のグラフは、2025年12月時点におけるIT求人とAI求人の職種別平均賃金を比較したものである。なお、横軸は0〜600万円を省略して、600万円以上の賃金差が分かりやすいようにしている。
2025年12月時点の職種別平均賃金をみると、AI求人はIT求人に比べて、ほぼすべての共通職種で高い水準にある。IT求人とAI求人を比較すると、開発職はどちらも最も低い水準に位置しているが、その差は最も大きく、AI関連のスキルがより重視されている可能性がある。また、データ職やマネジメント職など、プロジェクトの開発や推進に関わる職種でも、AI求人の平均賃金はIT求人を大きく上回っている。一方で、機械学習モデル開発職では、IT求人とAI求人の平均賃金の差は比較的小さく、他の職種ほど明確な賃金差はみられなかった。
全体として、AI求人の賃金上昇は開発職やデータ職などの特定の技術職に限らず、コンサル・マーケティング職にも広がっており、AI人材需要が複数の職種で横断的に高まっていることが分かる。
本分析では、フロッグ社の求人データを用いてAI求人を抽出し、IT求人との比較を行った。その結果、AI求人割合は2025年9〜12月時点でも2.0%と小さいものの、2024年初めの4倍まで上昇しており、IT求人全体の中でAI人材需要の重要性が高まりつつあることが示された。給与面でも、AI求人はIT求人より高い水準にあり、2024年から2025年にかけて給与分布もより大きく高年収帯へシフトしていた。職種別にみても、開発職、データ職、マネジメント職、コンサル・マーケティング職など幅広い職種でAI求人の平均賃金がIT求人を上回っており、AI人材需要は一部の専門技術職に限らず、プロジェクトの開発・推進に関わる職種へ波及していると考えられる。
以上