2021年1月27日
株式会社ジェーシービー(本社:東京都港区、代表取締役会長兼執行役員社長:浜川 一郎、以下:JCB)と株式会社ナウキャスト(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:辻中 仁士、以下:ナウキャスト)は、「JCB消費NOW」(※)を用いて、2020年1月から12月までの消費動向を総括しました。
※プライバシーを保護した形で加工したJCBカードの取引データを活用し、現金も含むすべての消費動向を捉えた国内消費指数。
■「JCB消費NOW」で振り返る2020年消費動向総括 ※参考系列(注) (調査:ナウキャスト)
2020年の消費動向は、大きく以下①~④の動きに特徴づけられる。
①3月~5月:新型コロナウイルス感染症拡大(「第1波」)と、それに伴う外出自粛の動きによるサービス消費の大幅な下落。
②5月~6月:「第1波」で大きく落ち込んだサービス消費の大幅な回復。
③8月~10月:「第2波」と天候不順による回復のもたつきを経た、サービス消費の再回復。
④11月以降:「第3波」によるサービス消費の再下落
2021年1月に再発令された11都府県での緊急事態宣言を受け、今後も消費の一層の落ち込みが予想される。
(1月の消費動向については、2021年2月中旬にプレスリリース予定。)
注)本プレスリリースでの「第1波」~「第3波」の定義:第1波 - 4月ごろ 第2波 - 8月ごろ 第3波 - 11月以降
※新規感染者数は、各期間中の日次合計値(全国)
参照元:厚生労働省・オープンデータ「陽性者数」https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html
※「小売総合」の9月から10月の数値は、2019年10月の消費増税に伴う駆け込み需要およびその反動としての買い控えの影響を受けていることにご留意ください。
●2020年消費動向に対する有識者コメント
野村證券株式会社 金融経済研究所 経済調査部 シニアエコノミスト 水門善之 氏
2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に翻弄された一年であった。コロナ禍における消費状況の特徴は、カテゴリーによって濃淡がはっきりしていた点だろう。例えば、人々の外出自粛を背景に、外食や交通・宿泊関連のサービス消費は落ち込みが目立った一方、巣ごもり消費を支えたインターネット消費(EC)は堅調に推移した。今後のポイントとしては、1)コロナ禍で進んだECの普及が、コロナ収束後の世界でどの程度定着を続けるか、2)コロナ収束後に期待される人々の消費行動の活発化(いわゆるリベンジ消費)のインパクト、に注目したい。
東京大学経済学部長、株式会社ナウキャスト 創業者・技術顧問 渡辺努 氏
コロナによる消費の変化の第1の特徴は「代替」だ。例えば、レストランでステーキを食べるのではなくスーパーでいつもより少し高い牛肉を買って自宅で調理する。映画館に行かず自宅にいてネット配信で映画を楽しむ。同じ商品・サービスではあるけれど、感染を回避するために、これまでとは異なるチャネルで購入する。消費の場面のいたるところでこうした代替が起きていることを「JCB消費NOW」は教えてくれる。
だが、起きていることが代替だけであれば、消費の総額は変わらないはずだ。実際には、「JCB消費NOWの」モノとサービスの支出の和は落ちている。これが第2の特徴だ。所得が減ったので消費総額が落ちているという面ももちろんあるが、所得が減っていない人でも消費総額は減っている。これは代替商品の値段が安いからだ。自宅で食べるステーキはレストランより安いということだ。なぜ安いかと言えば、代替商品の質が低いからだ。牛肉自体のランクが低いという意味ではなく、レストランが提供する様々な付加価値を楽しめないということだ。
この構図はステーキだけの話ではなく、ECなどオンライン絡みでも同じではないか。代替先の商品・サービスの質が低く、結果として安く上がり、貯蓄が増えるというのはコロナ収束まで続く。その後はどうか。これが消費について多くの人が知りたいポイントだろう。ポストコロナもこれが続くという見方が少なくない。しかしワクチン接種が進めば(質の劣る)代替品の消費は消えると考えるのが自然ではないか。正解がどちらかはわからないが、その答えを最も早く正確に魅せてくれるのが「JCB消費NOW」というのは確かだ。
●サービス消費~「旅行」「宿泊」「外食」「娯楽」指数~
●小売消費~「百貨店」「スーパー」「コンビニエンスストア」指数~
●サービス消費~「EC」「コンテンツ配信」指数~
■業種別トピックス
●コロナ禍の影響を受け、各種小売業態においてECが拡大
●外食はGoToイートの効果が現れる前に「第3波」到来で減速
●外飲み需要と宅飲み需要に見られた負の相関関係は、「第3波」以降消滅
■年齢別・男女別トピックス
●ECの伸びは年齢層が低いほど顕著
●女性は宅飲み傾向が強い
■「JCB消費NOW」のご活用について
「JCB消費NOW」は、性別・地域・年代といった属性別のデータを備えており、多面的に消費動向を分析することが可能です。
※「JCB 消費 NOW」は、プライバシーを保護した形で加工したJCBカードの取引データを活用してJCB とナウキャストが算出した、現金を含む国内の消費全体を捉えた消費動向指数となります。クレジットカード決済情報そのものではございません。
※グラフ等引用される際は、「出所:JCB/ナウキャスト『JCB消費NOW』」と必ず記載ください。データを活用される場合は、ナウキャストもしくはJCBにご連絡ください。
※「EC」項目はオンライン消費のみ。「EC」以外の「業種別消費指数」はオフライン消費とオンライン消費どちらも含んでいます。
※「JCB消費NOW」はJCBグループのカード会員様のうち、無作為に抽出した約100万人分の決済データを活用して作成しています。国内会員に絞っているためインバウンド消費を含みません。
●「JCB消費NOW」 1か月間無料トライアルはこちら
https://www.jcbconsumptionnow.com/member/register
お問い合わせ先:「JCB消費NOW」運営事務局 TEL:03-6272-5550
■「JCB消費NOW」について https://www.jcbconsumptionnow.com/
「JCB消費NOW」は、プライバシーを保護した形で加工したJCBカードの取引データを活用して、 “現金も含めた国内消費全体の実勢”を捉える消費指数を提供するサービスです。財やサービスの消費動向を示す総合消費指数や総合消費をマクロ・ミクロに分類した業種別消費指数など合計49種の指数を提供しています。性別・地域・年代といった属性別のデータも備えており、多面的に消費動向を分析することが可能です。また、データを集計して約2週間で配信するため政府等が公表する既存の消費統計と比べて速報性が大幅に向上しています。現在、国や地方行政機関をはじめ、企業のマーケティング部門、証券会社・投資銀行等の金融機関、経営コンサルティング会社、報道機関等、多岐にわたるお客様に、経済を捉える指標としてご活用いただいております。
※個人情報保護法および関連法を順守し、クレジットカードのデータはJCBにて特定の個人を識別できない・元の情報に復元できない状態に匿名加工処理を行い、ナウキャストが消費指数(統計)を作成することで、JCBカード会員皆様の個人情報・プライバシーを保護しています。
※「JCB消費NOW」は、クレジットカードの取引等のデータから、現金支出を含めた国内の個人消費全体を分析するため、外れ値処理や新規入会者のバイアス除去、クレジットカードの支払いが多くなりがちな業種の補正処理などの統計化処理を行っています。
■「JCB消費NOW」で提供している業種別指数一覧
(注)「JCB消費NOW:参考系列」について
クレジットカードの取引等のデータから“現金も含めた消費全体の実勢”を捉える「JCB消費NOW」では、クレジットカード固有の事象を要因とした数値の偏りを防ぐため、通常、カード利用者数の増減影響を除いた形で分析し、指数を提供しています。しかし、新型コロナの消費への影響は、商業施設や店、テーマパークの休業・休園、旅行の中止などにより、「交通」「娯楽」「宿泊」「旅行」などのレジャー関連業種、サービス業種においては、消費者の数そのものが減少していることが予想されます。そうした側面を考慮し、現在、通常とは違う「消費者の増減効果」を織り込んだ分析手法を用いた「参考系列データ」を全項目(総合、業種別)で算出しております。
※前提としてナウキャスト技術顧問・東京大学大学院経済学研究科教授の渡辺努が、通常配信系列(本系列)と参考系列の違い、及び有用性について、レポートを執筆いたしました。下記リンクよりご覧ください。
https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/jcbconsumptionnow.com/News/20200401_Nowcast_Watanabe.pdf