2020.10.15
プレスリリース

【プレスリリース】コロナ渦で変化した消費行動に巻き戻しの動き。時短営業要請解除やイベント開催制限が緩和された9月後半、“レジャー消費”が大幅に回復。一方、耐久財、デジタル消費は伸び率鈍化の兆しも

〜9月後半の国内消費指数「JCB消費NOW」ハイライト〜

2020年10月15日
 
株式会社ジェーシービー(本社:東京都港区、代表取締役会長兼執行役員社長:浜川 一郎、以下:JCB)と株式会社ナウキャスト(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:辻中 仁士、以下:ナウキャスト)は、プライバシーを保護した形で加工したJCBカードの取引データを活用し、現金も含むすべての消費動向を捉えた国内消費指数「JCB消費NOW」の9月後半(9月16日~9月30日)の速報値を更新しました。
 
ナウキャストでは、「これまで低調だった「旅行」「宿泊」「外食」「娯楽」などのサービス消費に回復の兆しが見える一方で、これまで好調だった「家電」「家具」「EC」「コンテンツ配信」の成長率が鈍化傾向にあり、コロナ禍以降加速した『巣ごもり消費』等への消費行動のシフトに巻き戻しの兆しがあるのではないか」と分析しています。
以下、概要を公開します。(今回、昨年の消費増税前の駆け込みの影響を強く受けている業種があるため、参考として2018年・2019年・2020年の3ヵ年での指数比較グラフを掲載しました。)
 
なお、9月後半については、以下2点の特殊要因があることにご留意ください。

① 2019年消費増税前駆け込み要因
2019年消費増税前の9月は小売・サービス業ともに駆け込み需要があったため、2020年9月後半の数値が実体よりも弱く見える可能性がある。そのため以下項目については、2018年・2019年・2020年の3ヵ年での指数比較を参考に実体経済を分析していく必要がある。
▼特に駆け込みがあった業種
【マクロ】各種商品小売業、織物・衣服・身の回り品小売業(アパレル)、自動車小売業、機械器具小売業、医薬品・化粧品小売業、その他小売業、EC、旅行、医療、交通、娯楽
【ミクロ】百貨店、家具、医薬品、貴金属、スポーツ用品、カー用具、ディスカウントショップ、航空旅客、鉄道旅客
 
② 連休(カレンダー)要因
2018年は9月15日からと22日からそれぞれ三日間、2019年は9月14日からと21日からそれぞれ三日間の連休があり、9月前半と後半に連休が分散した。対して2020年の9月は、前半は土日を除き連休がなく、後半に連休(四連休)が集中した。

 
 
■9月後半・参考系列(注)ハイライト【ナウキャスト分析】
1)昨年の増税の影響などあり「小売総合」が下落する一方、回復で足踏みが続いていた「サービス総合」が大きく下げ幅を縮小し回復の兆し。
新型コロナウイルス新規感染者数(陽性確認者数)の増加ペースが落ち着いたことで、「サービス総合」は前年比-11.2%となり、9月前半(前年比-16.4%)から減少幅を5ポイント以上大きく縮小し、サービス消費回復の兆しをみせた。一方で、「小売総合」は、上述した①増税前駆け込み要因によって実体よりも大幅に下落しているように見える可能性が考えられるため、今後その動向は注視していく必要がある。(参照:指数3ヵ年比較)

※新規感染者数は、各期間中の日次合計値(全国)
参照元:厚生労働省・オープンデータ「陽性者数」https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html
 
(ご参考)▼指数3ヵ年比較

 


2)「旅行」は前回から20ポイント以上下げ幅を縮小、「宿泊」「外食」「娯楽」も約10ポイント下げ幅を縮小し、大幅に回復。「交通」「航空旅客」「鉄道旅客」は回復傾向にあるが足踏み続く。
4連休を含む9月後半は、「Go To トラベル」キャンペーンの影響か、「旅行」は前年比-22.0%と、前回(前年比-43.0%)から20ポイント以上大きく下げ幅を縮小した。また、「宿泊」「外食」「娯楽」も約10ポイント下げ幅を縮小し、これまで回復で足踏みが続いてきたサービス消費に回復の兆しが見えた。「外食」は、酒を提供する飲食店などに対する東京都の営業時間短縮の要請が終了した影響を受けてか「居酒屋」中心に回復がみられ、「娯楽」では、イベントの開催制限の緩和で、一部の映画館で全席販売が開始されたことにより「映画館」も20ポイント以上下げ幅を縮小し、大きく回復した。
一方で、「交通」は、回復傾向にあるものの、同じく外出に絡む「旅行」や「宿泊」に比べ、回復ペースは緩やかな状態が続いており、「航空旅客」や「鉄道旅客」の回復は鈍い状態となっている。これは、消費者が外出抑制を緩和しつつあるものの、飛行機や鉄道での移動を伴う「遠出」ではなく、感染リスクを避けるため自動車等で近場への移動にとどめる傾向があることが考えられる。



※5月前半「映画館」は取引データ少なく計算不可。


3)「EC」「コンテンツ配信」のデジタル消費は伸び幅が縮小。
「EC」、「コンテンツ配信」は、新規感染者数の増加が落ち着いた8月後半以降いずれも上昇幅の縮小が続いている。年齢別で見ると、レジャー消費が回復してきた9月後半、25歳以上の全ての年齢で「コンテンツ配信」が減少傾向にあり、特に70代後半以上の高齢層は前年並みに戻ったことが見て取れる。


 
(ご参考)▼指数3ヵ年比較



4)「家電」や「家具」の耐久財消費は、2019年消費増税前の駆け込み影響で前年比下落。
家電などを含む「機械器具小売業」や「家具」などの耐久財消費は、昨年が増税前の駆け込み需要の影響を大きく受け強い数値が出ているため、今回の数値は実体よりも弱く見えている。ただ、増税がなかった2018年と比較してみても、9月の前半以降、成長は低調となっている様子が見えるため、今後も動向を注視する必要がある。



(ご参考)▼指数3ヵ年比較


 
※「JCB 消費 NOW」は、プライバシーを保護した形で加工したJCBカードの取引データを活用してJCB とナウキャストが算出した、現金を含む国内の消費全体を捉えた消費動向指数となります。クレジットカード決済情報そのものではございません。
※グラフ等引用される際は、出所:JCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」と必ず記載ください。データをご活用される場合は、ナウキャストもしくはJCBにご連絡ください。
※「EC」項目はオンライン消費のみ。「EC」以外の「業種別消費指数」はオフライン消費とオンライン消費どちらも含んでいます。
※JCB消費NOWはJCBグループのカード会員様のうち、無作為に抽出した約100万人分の決済データを活用して作成しています。国内会員に絞っているためインバウンド消費を含みません。 
 
【リリースPDFはコチラ】
各種データにご関心をお持ちの場合は、プレスリリースに記載のお問い合わせ先までご連絡ください。 
 
■「JCB消費NOW」 1か月間無料トライアルはこちら
https://www.jcbconsumptionnow.com/member/register
■データや会員登録などに関するお問合せ先
「JCB消費NOW」運営事務局
TEL:03-6272-5550
MAIL:info@nowcast.co.jp
 
■「JCB消費NOW」について

https://www.jcbconsumptionnow.com/
「JCB消費NOW」は、プライバシーを保護した形で加工したJCBカードの取引データを活用して、“現金も含めた消費全体の実勢”を捉える消費指数を提供するサービスです。財やサービスの 消費動向を示す総合消費指標や、総合消費をマクロ・ミクロに分類した業種別消費指数など合計49種の指数を提供しています。性別・地 域・年代といった属性別のデータも備えており、多面的に消費動向を分析することが可能です。また、データを集 計して約2週間で配信するため政府等が公表する既存の消費統計と比べて速報性が大幅に向上しています。
 
現在、国や地方行政機関をはじめ、企業のマーケティング部門、証券会社・投資銀行等の金融機関、経営コンサルティング会社、報道機関等、多岐にわたるお客様に、経済を捉える指標としてご活用いただいております。
(活用例)
経済産業省「産業構造成長戦略部会」基礎資料(2020年5月1日)
首相官邸「未来投資会議資料」(2020年5月14日)
内閣府「地域経済動向」(2020年9月7日)
内閣府「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」(2020年9月24日)
 
※個人情報保護法および関連法を順守し、クレジットカードのデータはJCBにて特定の個人を識別できない・元の情報に復元できない状態に匿名加工処理を行い、ナウキャストが消費指数(統計)を作成することで、JCBカード会員の皆様の個人情報・プライバシーを保護しています。
※「JCB消費NOW」は、クレジットカードの取引等のデータから、現金支出を含めた国内の個人消費全体を分析するため、外れ値処理や新規入会者のバイアス除去、クレジットカードの支払いが多くなりがちな業種の補正処理などの統計化処理を行っています。
・業種別指数一覧

(注)「JCB消費NOW:参考系列」について
クレジットカードの取引等のデータから“現金も含めた消費全体の実勢”を捉える「JCB消費NOW」では、クレジッ トカード固有の事象を要因とした数値の偏りを防ぐため、通常、カード利用者数の増減影響を除いた形で分析し 、指数を提供しています。
しかし、新型コロナの消費への影響は、商業施設や店、テーマパークの休業・休園、旅行の中止などにより、「 交通」「娯楽」「宿泊」「旅行」などのレジャー関連業種、サービス業種においては、消費者の数そのものが減少していることが予想されます。そうした側面を考慮し、現在、通常とは違う「消費者の増減効果」を織り込んだ分析 手法を用いた「参考系列データ」を全項目(総合、業種別)で算出しております。
 
※前提としてナウキャスト技術顧問・東京大学大学院経済学研究科教授の渡辺努が、通常配信系列(本系列)と参考系列の違い、及び有用性について、レポートを執筆いたしました。下記リンクよりご覧ください。
クレジットカード支出金額の「1人当たり支出金額」と 「支出者数」への分解
 
■株式会社ナウキャストについて

http://www.nowcast.co.jp/
ナウキャストは日本のオルタナティブデータのリーディングカンパニーであり、ビッグデータ 解析により、「消費者物価指数などの経済統計のリアルタイム化」、「企業の経営戦略の見える化」を行う東京大学発のFintechベンチャー企業です。東京大学経済学研究科渡辺努研究室における『東大日次物価指数(現:日経CPINow)』プロジェクトを前身として2015年2月に設立されました。現在POSデータ、クレジットカードデータなどのオルタナティブデータサービスを幅広く展開し、国内外250社以上の金融機関、シンクタンク、政府、政府系金融機関、海外ヘッジファンド等の資産運用、経済調査業務を支援しております。
 
■株式会社ジェーシービーについて

https://www.global.jcb/ja/
1961年に設立し、日本で唯一の国際カードブランドを運営する企業としてJCBカード を利用できる加盟店ネットワークを展開するとともに、アジアを中心に国内外のパートナー企業とJCBカードの発行を拡大しています。また、総合決済サービス企業の実現を目指し、お客様やパートナー企業の皆様の期待にお応えする様々な事業を展開しています。 国内外で1億4千万人以上の方にJCBカードをご利用いただいています。(2020年3月末現在)

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