2025.08.26

総合不動産デベロッパーのDXを支えるカスタマイズ性。「オフィス営業」×「サードパーティデータ」が開いた可能性

三菱地所株式会社 DX推進部 協業・変革支援ユニット
ユニットリーダー/篠原靖直 様
マネージャー/髙山沙也加 様

オフィスビルをメインに、商業施設やホテル、物流施設などの開発・運営・賃貸事業といった不動産事業を幅広く展開する、三菱地所株式会社様。ナウキャストは、DX推進部の篠原様、髙山様と共におよそ1年をかけて、オフィスビルのリーシング営業に特化した「DataLensオフィス営業」の開発・導入に取り組んできました。今回は、お2人に「DataLensオフィス営業」導入の背景やサービスの満足度などについて、お話をうかがいます。

ビッグデータを持ち得ない業界で、ブレイクスルーとなるサービス

―まず、お2人が所属するDX推進部 協業・変革支援ユニットの業務内容やミッションについてお聞かせください。

篠原様:
DX推進部は2つの機能に分かれています。1つは、コーポレートITとしての機能で、ネットワークやクラウド環境といったインフラ領域、サイバーセキュリティ対策、基幹システムの運用・保守などを担っています。そして、もう1つが業務の「DX化」を図る機能です。私たちが所属する協業・変革支援ユニットは、主に後者を担っていて、既存の不動産ビジネスにデジタルの要素を掛け合わせ、生産性や有効性を高めていくことをミッションとしています。

(三菱地所株式会社 DX推進部 協業・変革支援ユニット ユニットリーダー 篠原靖直 様)

―「DataLensオフィス営業」を導入する以前に抱いていた課題感は、どのようなものでしたか?

髙山様:
オフィスビルのリーシング(テナント誘致活動)を担当する営業部隊において、営業対象となるのはオフィスの移転を検討している企業です。とは言え、検討を開始してから移転を完了するまでのスパンが長いことから、アプローチするタイミングを見極めるのが非常に難しいことが大きな課題でした。

営業先のあたりをつける際、決算資料や各社のウェブサイトから情報を集めることは可能ですが、それを整理・活用するまでには多くの工数がかかってしまいます。加えて、担当者ごとに必要な情報が異なります。そうしたことから、ノウハウの蓄積や情報の一元管理が難しい状況にありました。

篠原様:
この領域に限らず、不動産業界は基本的に営業担当者の「勘と経験」に頼って判断をすることが多いのが特徴。ですから、そうした個々人の「勘と経験」にデジタルの力を加えることで、より効率的で確度の高い営業活動ができるのではないかと考えました。

(三菱地所株式会社 DX推進部 協業・変革支援ユニット マネージャー 髙山沙也加 様)

―実は、「オフィスリーシング×サードパーティデータ」の有用性をナウキャストに示してくださったのは、篠原様なのですよね。

篠原様:
ナウキャストCEOの辻中さんと以前から交流があったのですが、ある時、辻中さんがFacebookで「企業の求人情報データをダッシュボードにして可視化してみました」と、投稿していたんです。たまたまそれを見て、「これは、オフィスリーシングで使えるはずです」とコメントをしたのが発端です。それから何度かやり取りをしたのですが、本当にサービス化していただけてうれしいですね。

意外に思われるかもしれませんが、不動産業は自社で持っているファーストパーティデータが非常に少なく、活用できるデータ量に限界があるのが現状です。ビジネスモデルの特性上、1件当たりの取引金額は大きくても、扱っている案件数はそれほど多くないのです。ですから、手持ちのデータがビッグデータ化しづらい実情があります。

そのため、いろいろなセカンドパーティ、サードパーティデータで補完していくことが不動産業界にとってのデータ利活用の大きな課題でした。ここがブレイクスルーできれば、次のステージに進めるはず。「DataLensオフィス営業」は、その突破口の1つになり得ると思っています。 

個別ニーズに柔軟に対応するカスタマイズ性と機能開発

―「DataLensオフィス営業」は、カスタマイズ性の高さが売りですが、その点に関してはどのような印象をお持ちですか?

髙山様:
どういったデータを活用するかを含め、いわゆるデータプロバイダー的な立ち位置でもご提案をいただけたのがありがたかったです。さらにそこから、データ取り込みのパイプライン構築といったバックエンド寄りの開発もしていただきました。レイヤー構造についても、どのような意図で構築したのかをご説明いただき、納得感のある構成になったと思っています。レイヤー分けをうまくしていただいたおかげで、ファーストパーティデータとサードパーティデータをスムーズに名寄せすることもでき、大変助かりました。 

UI・UXの観点でも、フィルターのかけ方や業種分類といった細かな部分について、スピード感を持って対応していただけたと思っています。加えて、現場の営業担当者に実証実験的に操作してもらい、そこから上がったフィードバックをもとにサービスのブラッシュアップも行っていただきました。

篠原様:
私としては、ナウキャストさんは良い意味で、“一般的なSaaSベンダー”ではないと思っています。なぜなら、ここまで柔軟にカスタマイズに対応していたら、SaaSベンダーとしては効率が悪いから。ただ、当社のような総合不動産デベロッパーにとっては、ありがたい企業です。オフィスだけでなく、商業施設、ホテル、住宅、空港、物流施設など、ありとあらゆる不動産を手掛けている業態は、国内にも海外にもそこまで多くありません。同じ不動産業でも、企業によってポートフォリオのバランスが大きく異なりますから、ある程度カスタマイズが効かないとサービスとして使いにくいという事情があります。

導入後も引き続きアップデート。さらなる機能性の向上を目指す

―実際にサービスを導入されて、ここまでの成果はいかがでしょうか。

髙山様:
これまでバラバラに点在していた情報が一元化され、使いやすい形で抽出できるようになって、営業担当者からは概ね好評です。

篠原様:
「DataLensオフィス営業」上のデータから、オフィス移転の予兆を推定してアプローチをかけたところ、実際に移転の検討をしていたというケースがいくつもあります。

ありがたいのは、営業担当同士で同じ企業にアプローチするケースが回避できること。「DataLensオフィス営業」上で営業活動をする企業のリストを作成・共有できるようになりました。これによって、他の営業担当者がアプローチしようとしている企業がわかり、担当者同士で連携を取ることができています。

―今後、「DataLensオフィス営業」に期待することや、この先の展開について教えてください。

髙山様:
サードパーティデータの拡充と、さらなる利活用を期待します。ジャストアイデアではありますが、あるオフィスビルに対して、この企業がマッチするのでは?といった「レコメンド機能」が備わると、さらに営業活動の確度が高まるのではないかと。ぜひそうした機能も検討していただきたいです。

篠原様:
社内のデータ活用リテラシーを上げる努力をして、より便利に使っていきたいですね。また、当社では部署や立場によってアクセスできる情報を厳しく制限しているので、今、各データへのアクセス権限をカスタマイズするアップデートをしていただいています。これが完了すれば、グループ会社なども含めて広く「DataLensオフィス営業」を展開する予定です。三菱地所グループ全体で、業務の効率化・生産性の向上を実現するツールとして、活用していきたいと思います。

※所属・肩書等は取材当時のものです。


企業名  : 三菱地所株式会社
事業内容 : オフィスビル・商業施設・ホテル・物流施設等の開発、賃貸
       国内外での収益用不動産の開発、販売
       住宅用地・工業用地等の開発、販売
       空港・余暇施設等の運営
       不動産の仲介・コンサルティング
       資産運用事業
企業サイト: https://www.mec.co.jp/


取材・文:エクスライト
写真:石川不二子

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